第参章

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「あんな所に蔵なんてあったんだな」 「まぁね」 「あの蔵には何が入ってるんだ?」 「仕事関連の事じゃないかな? 詳しくは知らないけど鍵がかかってて僕達は中には 入れないんだ」 「なら近くまで行ってみよう どうせ入れないなら構わないだろう?」 「そういえばまだ畑や馬小屋や道場を案内していませんし その後でも良いのでは? あそこは少し距離がありますから」 「そうだね それがいいよ」 「まぁ……二人が言うならそうする」 「なら はやくいきましょう」 「わかったから落ち着いて 急がなくても畑は逃げないよ」 「にげたら ぼくが つかまえてみせますよ」 「はいはい」 蔵の事を聞くと何処か歯切れの悪い光忠達。 近くまで行きたいと申し出たが遠回しに断られた。 違和感を覚えながらも今剣に手を引かれ畑へと向かう。 その後ろを付いて来る光忠達は奏に聞こえないように 声を潜めて話していた。 「光忠」 「ごめん伽羅ちゃん 鍵は長谷部君が持ってるしいきなり真実を伝えるのは 不味いかなって」 「それより本丸の事を知りたいと言われましたが やはり何か感じとっていらっしゃるのでは?」 「その可能性は高いな」 「長谷部君があの調子じゃどうにもならないよ 三日月さんがいてくれれば上手く誤魔化してくれそうって 思うんだけど」 「彼の方は得意ですからな 鶴丸殿も得意ですし」 「明日から僕達五人で資材集めとか頑張ろう 全員揃えば大丈夫」 「そうだな とりあえず今日はさっさと休んでもらおう」 話を切り上げる様に言うと順番に案内していく。 畑は綺麗に整備されていた。 その後 馬小屋で馬と触れ合い道場では手合わせを 見せてもらった。 そうこうしているとあっという間に夕方になった。 結局 蔵の方には行かずそのまま食事を取り風呂を済ませ 自室に戻った。 蔵の事は気になったが知られたくない事もあるだろうと 思い気にしない様に努めた。 日記を書いて何時もの様に布団に入って眠りに ついたのだった。
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