第四話

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夢を見た。 何故か夢だと断言出来た。 本丸の自室 誰かが机に向かって何かを書き留めていた。 夢だが悪いと思いつつ背後から覗いて見ると自分と全く 同じ字を書いていた。 ノートには幾多もの涙の跡がある。 何故かはっきり書かれている筈の文字が読めなかった。 読もうとした途端に読めなくなったのだ。 誰かはノートに書き込むのを終えると閉じ引き出しから 小刀を取り出し鞘から抜いた。 それを見た瞬間 ぞっとした。 『俺には元より生きる意味がない 此処に来たのは偶然で彼奴達にとって最初から俺は 主の代わりだ 最初から誰も俺なんて信じてなんて無かったんだ だから嘘をついて隠して飼い殺すつもりだったんだ』 『主! お願いだよ! 此処を開けて』 『開けてくれ! 俺達はお前を守りたかったんだ!」 『お願い! 主 此処を開けて! 今度はちゃんと全部 本当の事 話すから!』 『主様! どうか私達の話を聞いてください!』 『主! 早まってくれるな! 仲間外れにしたのは謝ろう!』 『主! お願いします! 此処に居るものは誰一人として主を傷付ける為に 嘘をついて隠していた訳ではありません!』 『主はんが怒るんは当然や! けど話だけは聞いてくれまへんか! あんたが居なくなったら蛍丸と国俊に泣かれてほんま 困るんですわ! 二人だけやあらへん! 粟田口の短刀達やてそうや!』 『そうです! 私からもお願いします! どうか此処を開けて話だけでも聞いてください!』 部屋の襖は何故か扉に変わっていた。 部屋の扉の向こうからは幾多もの声が聞こえる。 それはよく知った声も混じっていた。 どの声も身を案じており必死さが伝わってくる。 扉には衝立と閂が内側に嵌められており扉を叩く音が 代わる代わる絶えずしている。
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