第四話

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「おい!」 「っっっっ!」 「どんな夢をみていたんだ? 随分と魘されていたが」 「大丈夫だ 大した事じゃない」 「教えてくれ」 「俺にもわからない 理解が出来ないんだ」 「そうか なら無理には聞かない 話したくなったら言ってくれ」 目を覚まし飛び起きるとそこには心配そうな顔をしている 大倶利伽羅がいた。 彼がこんな顔をしているのは初めて見た。 背中は冷や汗で冷たくなっている。 何とも目覚めの悪い夢だった。 「伽羅ちゃん」 「何だ?」 「ちょっと背中貸して」 「背中か?」 「いいから」 「わかった」 「いいって言うまで動くなよ」 「……………」 奏は自分に背中を向けさせるとポスリと頭を乗せた。 夢だと言うのに押し潰されそうな嫌な感覚が残っている ズキズキと胸が痛んで喉を押し潰す。 10分程その状態を続けるとふと背中が軽くなった。 視線だけ軽く後ろに向けると奏は上体を起こしていた。 「落ち着いたか?」 「あぁ 悪かったな」 「いや これくらいどうと言うことはない」 「長谷部さんはまだ?」 「いや 畑の水やりだ」 「そうか ならいいんだけど」 「今日は休むか?」 「いや 流石に鍛刀しないとな 昨日は休ませてもらったんだし」 「無理はするな? 今日の近侍は俺だ 何かあったらすぐに言え 約束だ」 「わかった とりあえず着替える 背中が冷たくてしょうがない」 「風呂に行け」 その後 問答無用で風呂に連れて行かれたが結果的には サッパリしたので良かったのかもしれない。 朝食をとる頃には夢の事は忘れており鍛刀も無事に 済ませた。 後は時間が経つのを待つだけだ。 大倶利伽羅はお茶を取ってくると席を外したので 側にいない。 その間は暇なので仕事をしようとしたが長谷部に取られて しまっていた。 本人曰く 「俺にやらせて下さい! いえ俺がやりたいんです! 主の為に!」 と力いっぱい言われたので拒否する訳にもいかず 任せる事にした。 とにかく手持ち無沙汰なのだ。 テレビもなければゲームもない。 どうしたものかと悩んでいた。
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