第五章

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「そういえば遠征組はそろそろ帰ってくるんだったな」 「えぇ 後 一時間もすれば戻りますよ」 「ならそれまでに埋め戻さないとな それと落とし穴がまだあるだろうからそれを全部 探して 埋め戻さないと」 「そうですね と言っても二人では時間がありませんな」 「長谷部に頼もう それと明石にも」 「動くでしょうか?」 「明石は可愛い蛍丸の為と言えば動くさ 長谷部は言わずもがなかな」 「なるほど」 「此処を埋めなおしたら二人を呼ぼう」 「はっっ!」 そうこうしている間に穴を埋め二人を呼びにいく。 反応は予想通りだったのでやはり予定通りに事を 運んだ。 それから遠征組を迎えに行く。 「ただいまぁ」 「おかえり」 「主様 遠征先で綺麗な花を見つけて あの…お土産です」 「ありがとう 歌仙に頼んで生けてもらうよ」 「えへへへ」 「さっお風呂に行っておいで」 「はーい」 「さてと……じゃ部屋に戻るよ 悪いけど後はよろしく」 「体調が良ろしくないのですか?」 「最近 少し疲れやすくて 運動不足が祟ったかな?」 「薬研殿に見ていただいては如何ですか?」 「大事にはしたくない それにこれがわかったら全員 大騒ぎするだろう? 蜻蛉切も黙っててくれ」 「しかし悪化してからでは皆 困ります」 「とにかく頼んだよ」 背を向け部屋に向かって歩き出す。 後ろ手に襖を閉めると布団に崩れ落ちる様にして入った 長く息を吐くと仰向けに寝転がる。 「あの変な夢もだけど蔵も気になる 触れたら鍵くらい開けられるだろうけどなぁ 鍵自体は長谷部が持ってるみたいだし そもそも蔵に近付こうものなら誰かしらに邪魔される」 自分の手のひらを天井に向けて伸ばしながら独り言を 言う。 「あれ? ひょっとして……ひょっとしなくても監視されてる? いやでも……そんな事ないよな? 今までだってタイミングが良かっただけで」 『本当にタイミングが良かっただけ? 君の事 信じてるなら蔵の中だって見せてくれるよね? つまり君は信用されていないのさ』 背後から誰かの声が聞こえた。 そっと耳打ちする様に話される。 その言葉が心臓を締め付け声が出ない程 胸を圧迫した。
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