第壱章

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「はじめまして…ですね 俺はへしきり長谷部と言います 長谷部とお呼び下さい 主命とあらば何でもこなしますよ」 「はじめまして…奏です 長谷部さんはあの二人をご存知の様ですが」 「此処で共に生活した事がありますので 主はあの二人を見ても何ともないんですね」 「まぁ人それぞれだしそこに口を挟むのはどうかと思う たまたまそうだったってだけで此方に実害が無ければ好きにしてもらって構わないって言うか」 「主って心広いって言うか関心がないって言うか」 「心が無いからだろうな 人形とか雪女とか言われてたくらいだ 他人にも自分にも関心がない 君が言う後者側だろうな」 「心がない…ですか? その様な事はありません 主が我々を呼んでくださったのですから」 「呼んだ?」 「そうだよ あっ俺は加州清光 一応この本丸の初期刀なんだから可愛がってよね?」 「申し遅れました 私は一期一振と申します 粟田口吉光唯一の太刀ですな」 「じゃ清光君と一期さんと長谷部さん あの二人どうにかしてくれる? そろそろ見てるのが辛いんだけど?」 あれから話している間中ずっと抱擁したままだ。 事情があるにせよいい加減にしてほしい。 見てるこっちが恥ずかしいやら悪いやらで耐えられない。 二人は苦笑いを浮かべていたが長谷部は問答無用といった感じで 腰の刀を抜き二人に斬りかかった。 二人共 素早く避けたが奏は驚いた。 何とかしてくれとは言ったが誰も斬りかかれとは言ってない。 目の前で殺傷事件など御免被りたい。
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