清流の日常

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琴葉と優樹が学校に行き、清孝はしごとをしている。 暇だ… 出掛けるか。 清孝に一言入れて、まずは裏山に行く。 俺の力が弱まったせいで前ほど青々とはしていないが、まだ大丈夫だな。 山の奥深くに巨大な滝がある。 清流神社も小さな滝が流れているが、ここから繋がっている。 この滝が清流そのものと言っても過言ではない。 この山の、清流の根源である。 昔は巨大な滝そのものに霊が宿っていると信じられていたから、その人々の念から清流は生まれた。 久々にきたが、やっぱりここは落ち着くな。 滝の側には古いお堂が建っている。はるか昔はここが神社だったが、 今はもう誰も登ってこない上に知られていない。 しばらくの間、沐浴をして身を休めた。 「次に来るときは琴葉を連れてこよう」 そう決めて、次は街に出た。 「ったく、最近は霊が多いな」 そう言いながら清流が歩くだけで霊が消えていく。 タチの悪い霊も問答無用で消していく。 だが、偉いところはきちんとその魂たちを上(天)に上げていることだ。 まあ、上に行けないやつもいるがな。 「はあ、神様は大変だな」 道行く霊を消しながら進むと、ちょうど町の真反対まで来てしまった。 歩きすぎた。しかもここ… ん?あれは優樹か。 神社の鳥居の前で、じっと立っている。 「優樹、そこでなにをしている」 「うわ、清流」 「お前学校は?」 「サボった」 「そうか」 しばらく2人で中に入るでもなくそこに立っていた。 「荒れてるな」 「そうだね、霊がいっぱいいるね」 「掃除を頑張れば少しはマシになるだろうに」 「優しいんだね」 「は?」 この2人は表面でしか喋っていない。 それを分かっていて2人とも話している。 お互いに核心はつかない。 「お前、中入らなくていいのか?」 「…意地悪だねえ、いいよ、帰る」 「そうか」
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