prologue

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私は、この神社で巫女として働いている17歳の宮司琴葉(みやじことは)です。 朝から怒らせてしまった相手はこの神社の主、水神の清流(せいりゅう)さんです。 なぜ怒らせてしまったというと先日、この清流神社の宮司である宮司清孝(みやじきよたか)さんと清流の話を偶然にも聞いてしまって… 「清流、やはり治りそうにないですか」 「ああ、すまない」 「あなたが謝るとは珍しい、明日は雪でも降りますか」 「茶化すな、聞いたぞ。この社、立ち退き令が出たそうだな」 「おや、もう知ってるんですか?この神社も古いですからね」 「俺のせいか?俺の力が戻らないから…」 「あなたのせいではありませんよ」 清孝は優しく微笑むが、清流は今にも泣きそうだ。 「ふふっ、あなたの顔、親に叱られた子供みたいですよ」 「なんだと?俺をいくつだと思ってる」 「いくつですか?」 「確か、千三百…忘れた」 「相変わらず外見は若いですね」 「お前は老けたな」 「うるさいですよ」 清流はこの地の人々の念から生まれ、今までこの地を、神社を守ってきた。 そして、神社を共に守ってきた宮司家の5代目が清孝である。 「はぁ、昔は清流様、遊んで!って可愛かったのに…こんな敬語野郎になりやがって」 「すみませんね(怒) しかし、今回は本当にヤバそうです」 「ったく、誰がこの地を守ってやってると思ってんだ」 人々は、守られていることが当たり前になって神の存在を忘れつつある。 だが、清流自身も力が弱まり神社の裏山は水が枯れてきている。 「そういえば気脈も乱れてきたせいか、最近はよく視かけますね」 「ああ、そろそろ本当にヤバイかもな また霊絡みで琴葉が危ない目に会わなければいいが」 「そうですね、ですがまずは自分の心配をしなさい」 「命令するな!俺は神様だぞ!」 こんなことがありまして、清流のピンチならばいつも助けてもらう恩返しにもと考えまして… 清流は癒しの力を持って人以外にも霊や気、地を癒します。 ならば私に出来ることはまず清流のように人の病を少しでも和らげるお手伝いだ!と思ったのですが… 結果は逆効果でした。 考え込んでいたら、10分も経っていました。急がないとまた清流に怒られてしまいます!
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