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厄介なお客様
あれからバタバタと準備をしていたら、祈祷のお客様が来る時間になった。
でも、なんでしょう、嫌な予感がします。
「おい、厄介な客が来るぞ」
「やっぱりですか、でも今日はお祓いじゃなくて祈祷ですよね、なんででしょう」
「さあな、お前気をつけろよ
けど、できるならそいつの魂を視とけ」
「はい」
清流と私には秘密があります。
私は、物心ついた時から霊以外に人の魂が視えてしまう体質でした。
人の魂が視えると、その人の寿命や今思い出している記憶、考えていることが伝わってきます。
そのせいで、当時何も分かっていなかった私は、度々両親や友人を怖がらせてしまいました。
そのため、両親は幼かった私を神社の裏山の奥深くに置き去りにしました。
そこで泣いていた私に声をかけるでもなくずっと隣に座っていてくれたのが清流です。
最初に清流に声をかけた時は驚いていました。
まさか視えているとは思っていなかったそうです。
昔のことを思い出していたら、お客様がお見えになりました。
「やあ、可愛い巫女さんだね、今夜ヒマ?」
「ようこそお越しくださいました。こちらへどうぞ」
「ははっ、そんな警戒しないで」
言いながら肩を抱かれた。
この暗くて重い感じ、やっぱりです。
大抵の弱い霊は神社の鳥居をくぐった時点で落とされるが、今回は…
強敵ですね。
とりあえず本殿へお連れします。
「これはこれは…」
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