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「大丈夫だ。シウスはあれで強い男だ、毒になど負けない。あれの負けず嫌いは凄いんだぞ。それに、オリヴァーがついているんだ。あいつほど毒に詳しい奴もいない。必ず助かるから、安心しろ」
「助からなかったら…」という言葉を口にできなかったのは、言えばそれが現実となってしまう気がしたから。ラウルを前に、自分までそれに飲まれて不安を口にすれば余計にラウルが辛いから。根拠などなくても、大丈夫と言い続けなければ自分が立っていられなかった。
「頑張ったな、ランバート」
背中を優しく叩くその僅かな振動に、体はゆっくり眠ろうとしている。耳にある確かな鼓動に、意識がゆっくりと閉じていく。体の全てで感じている温かさに、ランバートは静かに眠った。
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