633人が本棚に入れています
本棚に追加
フェレスの表情から、強ばりが消えていく。口の中で何度も、「そうか」とか「うん」とか言っている。やがて、黄色い瞳が上がった。
「町なら、今の赤子やこれから産まれる子供も安心して大きくなれるな」
「勿論だ」
「寒さに震えたり、命を落とす事も減るか?」
「多分な」
「…森に、戻ってきたい奴は戻ってきてもいいんだな?」
「お前達を脅かす奴の大本を、できるだけ早くこちらで討ち取る。それからになるが、約束する」
フェレスは立ち上がり、ファウストと向き合う。そして一つ、手を差し伸べた。
「セヴェルスを信じる。そして、あんたを信じる。明日、俺と一緒に来てくれると助かる」
「あぁ、勿論そのつもりだ」
伸べられた手を握り、両者はしっかりと握手を交わした。
最初のコメントを投稿しよう!