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翌日、早い段階でオリヴァーがファウストの元を訪れた。その表情は疲れているようだが、同時に安堵も見て取れた。
「大丈夫なんだな?」
「絶対に、とは言えませんがとりあえずは。一番危険な段階を超えました。まだ完全に毒が体外へと排出された訳ではありませんが、経過観察でやれるかと思います」
「シウスはどうしている」
「少し前に眠りました。低酸素になる事もありませんでした。気を張ってらしたのでしょう、状態が落ち着くにつれて眠られました。明日の夜までは私が側につきます。それ以降は、大丈夫です」
「…後遺症は?」
「大丈夫ですよ。この毒は抜けてしまえば後には残りません。何より早い段階で治療ができたことが幸いしました。事前に情報を得られた事と、対処の為の薬を得られた事が何よりでした」
オリヴァーの言葉に、ファウストもようやく安心できた気がした。心も少し軽くなる。
「心配はラウルです。他の隊員が傷の手当てをしている間も、酷く落ち込んで憔悴した様子だったと。刺激するのはいけませんし、あの子を動揺させたくなくて小屋に入れなかったのですが、余計に不安にさせてしまったのかもしれません」
「ラウルの怪我は平気か?」
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