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「あの子は丈夫な子ですからね。ランバートがしっかり手当していましたし、経過も良好です。あと、リスクスさんの方も今朝方意識が戻って会話できました。フェレスさんでしたか? あの方が状況を伝えて、納得したようです。傷が良くなるまで、ここに留まってもらいます」
「そうしてくれ。川辺の本体をこちらへ移し、護送の準備ができ次第、砦へと向かう。護送隊の指揮をウェインに任せる。俺は単独フェレスに同行し、エルの説得に向かう。野営地の指揮を任せてもいいか」
「構いません。二時間ほど仮眠を頂きますが、その後でもよろしいでしょうか?」
「あぁ、そうしてくれ。オリヴァー、ご苦労だった。有り難う」
「どういたしまして」
にっこりと微笑んだオリヴァーはそのまま小屋の中へと消えていく。頼もしいその後ろ姿を見送って、ファウストも後少しだけこの場に留まった。
川辺に置いていた本体が小屋の周囲へと移ってきたのは、午前中の事だった。ここまで案内をしてきたらしい白い狼の側に立つウェインは、周囲が引くほどにご機嫌だった。
「ファウスト様、見てください! すっごく美人で利口なんですよ。はぁ…綺麗な毛。雪みたいですぅ」
「……」
動物が好き。そして、モコモコでふわふわなものが好き。そういう趣味だとは知っていたが、まさかほぼ野生の狼にまで及ぶとは思わなかった。精々フリム程度だろうと思ったのだが…甘かった。
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