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辿り着いたのは、一つの洞窟だった。中に入っていくと木製の扉がある。フェレスがノックをして何か声をかけると、内側から扉が開いた。
「フェレス、遅いから心配した。そちらは?」
「帝国騎士団のファウストさんだ。ウリクセース、中に入れてくれ」
出迎えたのは十代後半の少年だった。短い白髪に、大きくつり上がった薄赤い瞳をしている。そして隣にはまったく同じ顔の少年がもう一人いた。
「帝国の騎士? セヴェルス様が来るんじゃないの?」
「セヴェルスは…」
言いかけて、フェレスは言葉を詰まらせる。グッと拳を握り、下唇を噛みしめる。その様子で、この少年達はよからぬ事があったのだと察した。
「何があったのフェレス! セヴェルス様はどうしたの!」
「どうして何も言わないんだよ! フェレス、説明しろ!」
「それは…」
「シウス…セヴェルスは傷を負っているが、容態は安定した。動けない奴に代わり、俺がここに出向いた」
フェレスが上手く話せない状況で、ファウストがそれにかわった。睨み付ける視線を受けたが、一応は筋が通ったのだろう。ファウストも一緒に中へと通してくれた。
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