説得

13/18
前へ
/173ページ
次へ
 辿り着いたのは、一つの洞窟だった。中に入っていくと木製の扉がある。フェレスがノックをして何か声をかけると、内側から扉が開いた。 「フェレス、遅いから心配した。そちらは?」 「帝国騎士団のファウストさんだ。ウリクセース、中に入れてくれ」  出迎えたのは十代後半の少年だった。短い白髪に、大きくつり上がった薄赤い瞳をしている。そして隣にはまったく同じ顔の少年がもう一人いた。 「帝国の騎士? セヴェルス様が来るんじゃないの?」 「セヴェルスは…」  言いかけて、フェレスは言葉を詰まらせる。グッと拳を握り、下唇を噛みしめる。その様子で、この少年達はよからぬ事があったのだと察した。 「何があったのフェレス! セヴェルス様はどうしたの!」 「どうして何も言わないんだよ! フェレス、説明しろ!」 「それは…」 「シウス…セヴェルスは傷を負っているが、容態は安定した。動けない奴に代わり、俺がここに出向いた」  フェレスが上手く話せない状況で、ファウストがそれにかわった。睨み付ける視線を受けたが、一応は筋が通ったのだろう。ファウストも一緒に中へと通してくれた。     
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

633人が本棚に入れています
本棚に追加