633人が本棚に入れています
本棚に追加
「助け出す手はずは整えている。セヴェルスが今夜には目を覚ますだろうから、その後になるが助ける」
「…任せてもいいのか」
「任せてもらいたい」
青年グループは項垂れるようにしてしばらく考えている。だが、中の数人がファウストへと歩み寄りその手を握りしめると状況は少し変わった。
「有り難う…」
「え?」
「助けられた妊婦の中には、私の妻もいるはずだ。息災であっただろうか」
「産婆がいないために厳密な事は言えないが、体調を崩した者はなかった。本人達も大丈夫だと言っている。今、彼女達はうちの隊員が背負って森を抜けている。道も悪く足元が滑れば事だからな」
「そうか…良かった…」
そう言って、数人が涙を流す姿を前に他もゆっくりと決断をしたのだろう。青年グループは全員が、帝国へ一度下る事を決めてくれた。
残るは少年グループだが、そちらも変化があった。扉を開けてくれた双子が、何やら話している。どうやら彼らが少年グループのリーダーのようだ。
「セヴェルス様に会える?」
「今夜には目が覚める。そうしたら会えるだろう」
「話は?」
「治療をしている者の許可が下りなければ難しいが、出来るように伝える」
「…わかった。あんた達の野営地までは行く。そこで、セヴェルス様と話がしたい。帝国に下るかは、その後で判断する」
最初のコメントを投稿しよう!