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よほど、シウスに思い入れがあるのだろう。少年達はそれで納得できたのか、そそくさと移動の準備を始めた。
「あいつらな、ちっちゃい頃からセヴェルスに世話になっててさ」
「ん?」
フェレスが側でそんな事を言う。だが、分からなくはない話だ。
シウスは面倒見がいいし、子供が好きだ。これだけの大所帯で、しかも家庭という単位ではなく集落という大きな単位で生活していたのなら、多くの子供の面倒を見ていたのだろう。この少年達もきっと。
「下の世話も、子守も、遊びも、勉強も。それに、あの悲劇の夜もギリギリまでこいつらを庇うようにして隠れてた。あいつらにしたらセヴェルスは命の恩人であり、憧れであり、尊敬だ」
「…そうか」
どこか誇らしげな気持ちになれるのは、友の変わらぬ慈悲を知ったからだろう。
瞬く間に準備が整い、ファウストは来た道を同じ速度で野営地へと戻っていった。
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