633人が本棚に入れています
本棚に追加
壁との間に布団を挟み込み、それを背もたれとしたオリヴァーが小屋から出て行く。
そうすると直ぐに騒がしくなった。駆け込むように入ってきたフェレスは既に下唇を噛みしめていたし、隣に立つリスクスも安堵したような笑みを浮かべている。
その背後からはファウストとウェイン、そしてランバートが現れる。
そして、どこか見覚えのある双子がそこにはいた。
「主ら…もしかして、ウリクセースとエペーオスかえ?」
「「セヴェルス様!」」
二人はまだ少年らしい大きな赤い瞳に涙を浮かべてかけてくる。そして、布団の端に転がるように縋った。
「全て伺いました。なんて卑劣な…」
「お労しい姿です。許せない!」
口々に言うその頭をヨシヨシと撫でていると、フェレスが側に来て頭を抱き寄せる。そして、とても小さな声でずっと「すまない」と繰り返す。
その手に、腕に触れ、シウスは穏やかに微笑んだ。
「心配をかけてしまった。すまぬの、皆」
幼き記憶の弟分と、友達に伝え、そして視線を離れて見ている今の友にも向ける。なんとも温かく、手放しがたい者達だ。
「お話は伺いました。セヴェルス様、もう森には戻らないのですね」
双子の兄、ウリクセースに問われて、シウスは穏やかに微笑んだ。
「帝国に染まると、戻らなくなるのですか?」
最初のコメントを投稿しよう!