633人が本棚に入れています
本棚に追加
「確か、怨霊が出る場所があるから近づくなってすっごく言われた場所があったよな」
リスクスやフェレスの言葉で、シウスも薄らと記憶が戻った。
確かに父はそのような話をしていた。冗談のように「行くか?」と言われたが、大人の言う事は絶対だったから行かなかった。
「大人達が皆死んで、子供ばかりが残されてしまったので知らなかったのですね」
「この辺りは嫌な臭いもしてて近づかないからな」
森で暮らす彼らも知らない場所。間違いなくここなのだろう。
「臭いか…。確かに動物もあまりいなかったし、すっごく暗い感じで嫌だったな」
「崩れ落ちた古い城塞です。まして争いの中心になったのなら、何かしら有害なものがあるのかもしれませんね。年月がたっても地や建物に染みついているものもありますし」
ウェインとオリヴァーもまた、そのように言って頷いている。
「問題は、ここに奴らがいるとしてどのように引きずり出すかじゃ」
城塞の道や入り口を、第二師団は調べて書き込んでいる。それによると入り口は二つ。おそらく正面だろう大きな入り口と、裏口と思われる小さなもの。その両方から人が出てくれば動きが分散されてしまう。人の流れを一点に集めたいが。
最初のコメントを投稿しよう!