奪還(シウス)

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「この位置ならば、隣国ラン・カレイユ王国に行くか、さもなくば森を更に奥へと向かいクシュナート王国に出るかじゃが…今から森の奥へと入るは困難じゃ」 「ラン・カレイユ王国とは現在争いはないが、友好国であるとも言えない。刺激はしたくないな」  ファウストも難しい顔をしている。それにはシウスも同意見だ。 「そこに向かう前に抑える。連れてゆくのに不都合な者を出したということは、近く移動があるやもしれぬ。急ぐ方が良いな」  方法は簡単だ。一方を塞ぎ、一方を解放しておく。面倒は囲えば籠城にでるかもしれないことだ。  捕らえた女性達を丁重に扱うような奴らではないだろう。そうなれば内部で何が起こるか…捕らえられている女性達にとって状況が悪化する事だけは確かだ。  内部へ潜入する事も考えるが、簡単ではないだろう。 「奇襲が一番よいのだがの。一瞬で場をパニックにし、冷静ではいられない状況を作ればそのまま中の奴が飛び出してくるやもしれぬ」 「はい! それなら良い方法があります!」  場の雰囲気にはそぐわない元気な挙手のあと、ウェインはそそくさと小屋を出て行ってしまう。そして次には手に沢山の荷物を持って戻ってきた。 「えっとね…これが、閃光弾。で、こっちが音と煙幕ね」 「え……」     
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