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全員が身を乗り出すようにそれらを見る。袋いっぱいの閃光弾と、同じく手の平大の丸い導火線のついたもの。それらがゴロゴロと出てきたのだ。
「これをさ、夜陰に紛れて裏口付近の窓から放り込んじゃえばパニックだよね?」
「…まぁ、でしょうね」
呆れた様子でオリヴァーが呟く。手には閃光弾が握られている。まさか投げるつもりかと、全員が戦々恐々だ。
「お前の荷物がやたらと多いと思ったのは、こんな物を持ち込んでいたからか」
ファウストも煙幕を手にして唸っている。だが、ウェインは当然と言いたげに胸を張った。
「獣もいるし、危険なテロリストもいる。その中で戦うのは最低限って、とっても難しいので。特に第二師団は先行する事も多いので、一応の準備です。特に獣相手なら音と光と煙って有効でしょ? 傷つけずに追っ払うならこれが一番だなって」
ちなみにこれらはウェインの自作らしい。
「では、まとめようぞ」
どうやら事は定まるようだ。シウスは地図の上に指を滑らせて、奪還作戦の概要をまとめ始めた。
「第二師団中心に、後方からの奇襲攻撃を仕掛ける。見張りの者を捕らえつつ、裏口の窓からこれらを投げ込む。指揮はウェイン、よいか?」
「勿論です!」
まるで悪戯をする前のようなワクワクした顔でウェインは手を上げる。こういう顔をする時、ウェインは良い仕事をするのだ。
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