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「正面に本体を置く。奴らが飛び出してくる所を抑えねばならぬ。絶対に扉を閉めさせるでないぞ」
「そちらは俺が出る。第一師団、第二師団で構成する」
ファウストが頷き、一番大きな建物の周囲にある城壁に隠れて接近することを伝えてきた。
「集合場所をここより二キロ先の平地に移動させる。この場所では多くの者を受け入れるには不具合が多い。オリヴァー、行ってくれるかえ?」
「ですが、シウス様はまだ移動が困難です」
「私はここにて待つ。なに、平気じゃ」
そう言ったが、オリヴァーは納得していない。険しい表情をする彼に、シウスは困ったように笑った。
「ラウルを常に付けておく。大事ない」
「シウス様…」
言いたい事は分かるつもりだ。だが、ここを譲るつもりはない。シウスは静かに笑い、オリヴァーを下がらせようとした。だが違う所から声がかかった。
「ファウスト様、ウェイン様、俺もここに残ってはいけませんか?」
静かな声にシウスは視線を向ける。鋭い表情のランバートがシウスを見つめていた。
「ラウルだけでは心配です。シウス様もまだ本調子ではありませんし、俺には少し知識もあります」
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