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第三話 <反魂者たち>
「はいはい! そこまで!」
入って来たのは金髪のツインテールをした女だった。黒いシックなワンピースを着て、豊満な身体は、服の上からも分かる大きな胸と、ストライプのニーソックに太股の肉が乗っている。
「鏡、後にしろ」
酒匂が振り向きもしないで言う。
「うっさいうっさいハゲ。いきなりこんな所連れてきて仲間になれとかアンタ達本当勧誘へたくそ」
ハゲ、と言われた酒匂が少しばかり眉をピクッと動かした。
「何盗み聴きしてるんだよ」
草薙もまた顔をしかめる。鏡、と呼ばれた女がべーっ、と舌を出した。
「私たちの仕事より先に、まず帝くんの魂調べる方が先でしょ! バッカじゃないの」
くるっ、と天原の方へ振り向いた鏡が愛くるしい笑顔になった。八重歯が覗いている。
「私は鏡 八恵子(かがみ やえこ) ヤエちゃんって呼んでね」
ぎゅっ、と手を握られた。距離感の近い奴だと天原は思った。女性特有の柔らかい感触に慌てて手を引っ込める。
「何のつもりかわからないけど、俺仲間になんかならない。もう帰るから」
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