7人が本棚に入れています
本棚に追加
1969年という年。
海外ではベトナム戦争が終局に向かっていた。
パリでは『フランシーヌ』という女学生が政治への抗議として焼身自殺を図っている。
これは日本でも歌になった。 良くも悪くも波紋を広げた。
そして全米でベトナム戦争への反対デモが起き、とうとうアメリカ軍がベトナムから撤退した。
Since nineteen sixty-nine
しかし、そういう意味でこの年を歌っているわけでは無かった。
歌詞の中の幾つかの言葉に焦点を当ててみる。
◆colitas 麻薬の花
◆mission bell 教会の鐘の音(だからホテルじゃない)
◆“We haven’t had that spirit here Since nineteen sixty-nine”
ここには 1969年以降の魂を 置いていない
◆Bring your alibis 君のアリバイを持って来(き)な (アリバイって英語なんだ!)
◆programmed to receive 二度と戻れないよ (どこから? どこへ?)
まるで迷路に嵌り込むようなそんな歌詞に織り込まれたものは、当時の音楽業界の麻薬トラブル。 麻薬狂時代。
愛する音楽の世界に、まるで当たり前のように一種のステータスのように雪崩れ込んでくる『麻薬』。
汚点なのだ。 アメリカ自体の、ベトナム戦争のような汚点。
その汚点に、汚染されてしまったそんな音楽世界を嘆いた歌。
もう、君たちに出口は無いよ
帰る所も無いよ 何もかも失ったんだよ
そんな嘆きが歌に溢れているのだ。
そこに歴史的背景が加わった。
だから、さらにミステリアスな曲となった。
『Hotel California』自体が、歌の中では<北>と位置されている。
それは有り得ない。つまり、虚構のホテルということになる。
いろんな角度から見ることの出来る、歌。
そして。
なにより、欲しいところに欲しい音が入り、囁いて欲しいところで囁く言葉が入る、
そんな憎いくらいに玲玲たる歌なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!