1.Hotel California

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1969年という年。 海外ではベトナム戦争が終局に向かっていた。 パリでは『フランシーヌ』という女学生が政治への抗議として焼身自殺を図っている。 これは日本でも歌になった。 良くも悪くも波紋を広げた。 そして全米でベトナム戦争への反対デモが起き、とうとうアメリカ軍がベトナムから撤退した。 Since nineteen sixty-nine しかし、そういう意味でこの年を歌っているわけでは無かった。 歌詞の中の幾つかの言葉に焦点を当ててみる。 ◆colitas    麻薬の花 ◆mission bell 教会の鐘の音(だからホテルじゃない) ◆“We haven’t had that spirit here Since nineteen sixty-nine”  ここには 1969年以降の魂を 置いていない ◆Bring your alibis 君のアリバイを持って来(き)な (アリバイって英語なんだ!) ◆programmed to receive 二度と戻れないよ (どこから? どこへ?) まるで迷路に嵌り込むようなそんな歌詞に織り込まれたものは、当時の音楽業界の麻薬トラブル。 麻薬狂時代。 愛する音楽の世界に、まるで当たり前のように一種のステータスのように雪崩れ込んでくる『麻薬』。 汚点なのだ。 アメリカ自体の、ベトナム戦争のような汚点。 その汚点に、汚染されてしまったそんな音楽世界を嘆いた歌。     もう、君たちに出口は無いよ      帰る所も無いよ  何もかも失ったんだよ そんな嘆きが歌に溢れているのだ。 そこに歴史的背景が加わった。 だから、さらにミステリアスな曲となった。 『Hotel California』自体が、歌の中では<北>と位置されている。 それは有り得ない。つまり、虚構のホテルということになる。 いろんな角度から見ることの出来る、歌。 そして。 なにより、欲しいところに欲しい音が入り、囁いて欲しいところで囁く言葉が入る、 そんな憎いくらいに玲玲たる歌なのだ。  
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