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そこは街だった。雪景色が見えた時は、ずいぶん田舎のほうまで来てしまったような感じがしたけど……。
「もっと山奥がよかった?」
「……今の、声に出てた?」
「精霊のおかげよ」
もしかして彼女は、なんにでも精霊を結びつけようとしているだけなのかもしれない。なんにでも科学的な解釈を求める人のように。
「精霊だけじゃない。昔はドラゴンだって飛んでいたのよ」
「ドラゴン?」
「魔法も」
そういえば数年前、新たに昔の記録が見つかったとか、ニュースで大々的にやっていたのを思い出した。ドラゴンや魔法が実在していた記録――それを世紀の大発見だと告げるテレビを、どうせ偽造か間違いだ、と両親が笑っていたのを覚えている。
「もしかして、何年か前に見つかったとかいう……資料? の影響なの、その精霊とやらって。ほら、そのドラゴンとか……魔法とかがあった証拠だっていう……」
「あれは本物よ。おばあさんが言っていたもの」
もし本当なら、そのニュース以降も話を聞くはずだ。きっと彼女は何でも信じてしまう口なんだろう。
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