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「アカリ、こっち来て」
そういって自分の膝の上をたたく、桜井さんの上に乗ればぎゅうっと抱きしめられた。
耳元で、落ち着く~と低い声が響いた。
「瀬尾にさぁ」
「うん?」
「向野ちゃんってそんなに身体がいいんすか?って言われて」
私は思わず吹き出してしまう。
瀬尾さんは、身体目当てで付き合っていると思ったのだろう。
しかし、私たちは1ヶ月経っても、キスまでしかしていないのだった。
「とりあえず想像したらぶっ殺すって言っといた」
「なにそれ~」
普段はバリバリと働いている彼が私の腕の中で甘えているのはなかなかの快感だ。
きっと、すぐ無くなってし温もりだとしても。
「桜井さん」
「うん?」
「チューしていいですか」
桜井さんはニヤニヤしたあとそっと目を閉じる。
私は唇をそっと重ねて、幸せを噛み締める。
「はじめて、だよね」
「え?」
「アカリからキスすんの」
「そうだっけ」
「誘ってんの?」
「ちが、」
どん、と押し倒されてそのまま激しいキスが振ってくる。
そのあといつもの優しいキスに戻って、ごめん、うわぁ、と慌てる桜井さんは大分可愛い。
「ねえ、あの約束まだ有効なの?」
「性的行為の?」
「ちょっとまじで限界がちかいんだけど」
「それなら他いけば?」
そんなことを言ってしまう私は可愛くない。
でも、怖いんだ。彼を無くすのがただただ怖いんだ。
だから確かめたくなってしまう。
彼が私じゃなきゃだめだと、そう言って欲しくて。
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