04

4/5
2924人が本棚に入れています
本棚に追加
/249ページ
* 「面白かった?」 「面白かったよ。よく寝た?」 「うん」 桜井さんは大きな欠伸をして、私の頭をポンポンと撫でた。 「なんか食べていこーぜ。食べたいもの、ある?」 「さっぱりしたものがいい」 「あー確かこの近くに、美味い蕎麦屋があった気がする」 「いいね、お蕎麦~」 映画館を出て、桜井さんに連れられるまま、 蕎麦屋に向かう途中、 桜井くん?と声をかけられた。 振り向くとナイスバディの綺麗なお姉さんが立っていて、 久しぶりぃ~とはしゃいだ声をあげる。 実はこれ、初めての経験ではない。 どれだけ女性関係激しいんだよ、とつっこみたくなるくらい、桜井さんは女性の知り合いが多い。 しかもどの人もえげつないくらい美人で、そして派手だ。 私とは正反対なタイプの。 私は気まずさを押し殺しながら、 桜井さんの横に立ち尽くす。 「これ、俺の彼女」 桜井さんは、とん、と私の背中を押す。 私は、こんにちは、と小さく漏らして頭を下げた。 どんな気持ちなんだろう。 全く正反対の私が隣にいるのを見て。 「え、めっちゃ若くない?」 「7コ下」 「へー。こんにちは~、 桜井くんのカノジョなんて、大変だねえ」 「何だそれ」 桜井さんが苦笑いをするのを見て、 はい、大変です、と私は笑顔で答えた。 あなたみたいなのが山ほどいますから、と心の中で呟く。 桜井さんが舌打ちして私の頭をぽすっと叩いた。
/249ページ

最初のコメントを投稿しよう!