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「桜井さんっ、おわったっ」
そういって桜井さんを起こせば、おつかれ、と言って私の頭を撫でてくれた。
「チェックしてやろっか?」
「明日にして……」
私はそういって、ぽすっ、と桜井さんの胸に頭を埋める。
「俺んちの方が近いから、泊まってく?」
「うーん……悩む」
「悩むなら泊まってけ。
少しでも睡眠時間長い方がいい。
じゃないと明日ちゃんと喋れねえぞ」
「メインスピーカーは私じゃなく営業だもの、大丈夫」
「完成した資料まだ1ミリも見てない営業だろ?
アカリが喋った方がいいよ。
おまえ、わりとうまいもん喋るの」
「……それ桜井さんに言われるの、
凄く嬉しいんですけど」
桜井さんはお客様先でかなり変わる。
一度話しているところを見た時、
説得力、真摯さ、程よいユーモアさに感激したのを覚えている。
「よし、こんな遅くまで頑張ってる、いいこのアカリにはコンビニで好きなもん何でも買ってやるよ。
タクシーで俺んち帰ろ」
私は口元が緩むのを感じる。
社内恋愛なんで9割面倒なことばかりだけど、
忙しいとき分かってくれる、
辛さを共有してもらえることは本当にメリットだと、ひしひしと感じる。
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