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* 翌朝、桜井さんの家から出勤し、 コンペで話す内容の整理をして、ロープレを行う。 本当は営業の野原さんとともに練習するはずだったのだが、連絡がとれなかった。 遅刻だろうか?と少し不安に思う。 その不安は的中し、午前中、一切連絡がとれない状態になってしまった。 焦って野原さんの上長に連絡をすると、 課長も連絡がとれないという。 「誰か代打、立ててもらえませんか? スピーカーは私やるんで。 営業がいない体制なんて、捨てコンペにもほどがあります」 そう懇願したものの、ちょうどその課のスケジュールは誰もあいていなかった。 徹夜で作った提案書を握りしめて、 私は悔しくて涙が出そうだった。 私の努力とは別の方向でマイナス評価となることが、たまらなく悔しい。 完璧な状態で挑みたかったのに。 本当に涙がこぼれそうになって、 私はあわてて化粧室へと向かう。 その途中に、アカリ、と呼び止められた。 「アカリ、どうした?」 桜井さんは目を見開いて、私を見る。 まだ、泣いてない。ぎりぎりのところで、泣いてない。 ポーカーフェイスを貫いて来た。 いつもニコニコ笑っていられた。 でも、桜井さんは気づくのだ。 すれ違ったとき一瞬みた私の表情だけで、何かあったことを。 私の口から、桜井さん、と嗚咽のような声が漏れた。
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