2919人が本棚に入れています
本棚に追加
私が息を切らすのを楽しそうに見る桜井さん。
私はムッとしながら、桜井さんのシャツを掴んだ。
「明日、親がこっち来るから、メシ食うんだけど、」
「……そうなんだ」
「会う?」
思いがけない言葉に私は固まってしまった。
彼氏の親に挨拶なんて、今までしたことが無かった。
「無理か。重いよな、1ヶ月で親とか」
「……おかあさん?」
「うん。母親と母親の彼氏」
「そっか」
「まあ、自慢出来ない母親なんだけどな」
どんな人?と聞けばアカリと真逆、と即答される。
「女である、ってことしか武器がないような人」
「綺麗な人?」
「まあまあ美人なんじゃない。客観的に見ると」
「へえ」
「半年後くらいまで、まだ付き合ってたら、会ってよ」
「……その前に愛想尽かされそう」
「うん、尽かしそう。つーかギブアップ寸前だよ、俺」
私は桜井さんに抱きつきながら、申し訳ない気持ちになる。
最初のコメントを投稿しよう!