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04
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社内が騒然となったのは言うまでなかった。
営業一のイケメン、営業一のチャラ男。
そして営業一仕事のできる、桜井さんが、
7つも年下の地味な私と、付き合い始めたのだから。
誰にも言わないで、と言ったのに、
どうしてもお酒の入った桜井さんは、
口が軽くて、ペラペラと喋ってしまう。
その結果、私たちの関係は
社内にあっという間に広がってしまった。
『今日帰り寄る』
ほぼ毎日のように届くLINE。
飲み会がない日は、
桜井さんはほとんどうちに来て、
私の作ったご飯をおいしいおいしいと食べるのだ。
「アカリの作る料理ってなんでこんな美味しいんだろうなぁ」
「普通のものしか作ってないけど」
「普通のものに飢えてるから、俺」
性的行為をしないのであれば、
という、わけのわからない条件を飲んだ桜井さんは、
本当に付き合って一ヶ月何もしなかった。
泊まっていくとき、明らかに固くなったそれが
私の体にあたっていることは何度もあったけど。
それでも手は出さないし、キスだけで眠る。
本当に守ってくれるなんて思わなかった。
ちょっとした感動を覚えながらも、
私に女としての魅力がないせいなのではないか、
他に女がいるのではないかと、不安な気持ちもあった。
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