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満面の笑みで言われてしまった。
それは普段の無表情からは全く想像できないほどの、スゲェ輝いた笑みだ。本来の美少女っぷりを全力で発揮してくれている。
なのに…。
…こんなに冷や汗が吹き出して止まないのは、何故だろう…?
「…すみませんでした…」
僕はとにかく謝っていた。
「モグモグ」
今のは僕への怒りを呑み込んでくれた音なんだろうか。そう思いたくなる食いしん坊な返事で、水無瀬は僕の謝罪に応じてくれていた。
以上。学友として四年間を一緒に過ごすであろう山田水無瀬の紹介は終わり。
「食べ終わったから、帰ります。…また、授業で会いましょうね」
そう言って、水無瀬は立ち上がり、颯爽と身を翻した。
…これも伏線なんですか…?
ふと、水無瀬の消えた先を見詰めながら、僕は冷や汗を拭くことも忘れて、そう思っていた。
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