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龍田は説明に困窮しながらそう言って、背中の少女をそっと下ろした。
脩介は素早い動作で立ち上がると、下ろされた少女を、優しく抱え支えた。
少女を下ろした龍田は、「ふぅ」などと溜息を吐きながら、正に、漸く肩の荷が下りたという開放感に左肩を回している。
「承知しました。」と、脩介は主人の命に応じた。
脩介とは、中々抜け目のない男で、それ故に、御家人としては良く良く仕事が出来る。応じながらも、その目は少女を観察していた。
すぐさま、少女の様態を診断しているのである。
見れば…。
少女に外傷はない。肌色や呼吸、脈に乱れはなく…。
それはただ、深く眠っているといった様子に見て取れた。
…限界以上の疲労に困憊して、意識を失ったと…。
脩介は少女の様態をそう見ていた。
「まぁ、仰せのままに、安静にしてみましょう。…それで、大丈夫かと思います。」と、己の見解を主人に伝えた。
「うむ。よろしく頼む。」と、微笑みながら龍田が告げていた。
「はい。」と、脩介は淡白に返事をした。
抑揚のない口調。
無表情。
先の疑問には、いつの間にか納得してしまったのかどうか、普段通りの風間脩介が、そこにいた。
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