壱 月に少女

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 それは、腕を失うという失態を犯した龍田自身の未熟さに対しての怒りだった。  絶望の淵に在って、ただ、己の不出来を呪う。  どのくらい酒に逃げていたのだろうか。  龍田が蕎麦居酒屋での勘定を済ませてみれば、外はもう、すっかりと日が落ちてしまっていた。  風の匂いは、もう、すっかり夜のそれである。  雪も、いつの間にか止んでいて、澄み渡る冬の夜空に、綺麗な月が一つばかり浮かんでいた。  …さて、…これから、どうするべきか?  夜の城下町の往来の上で、龍田は考えた。  …まだ、帰りたくはない。  溜息を吐いた。  けれど…。  …どれだけ逃げたところで、事態が好転するワケもなし、…か…。  それも事実として、龍田は知っていた。  だから、溜息を吐きながらも、とりあえずはと、龍田は漸くの家路についたのだった。  さて、城下町から龍田の屋敷へ向かう際に、彼は細い裏路地を進んだ。  さして大きな意味もないことだった。  往来を歩いて、斬られた腕を、己の恥を大衆の目に晒して歩くことが気恥ずかしかったと、そんな理由からの行動だった。  けれど、その選択の結果として…。  ・・・・・・・・・・・・。     
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