第1話 吸血鬼はトマト好き

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「パプリカは美容効果があったって前にテレビで言ってたような気がするからその影響かも。飲み物の方が摂取が楽だからね」 「へぇ、そうなんだ。言ったら生で食べてるようなものだよね、これ。さすがに味付けないとパプリカは厳しいよ」  と、実際に飲んだ僕の率直な感想です。 「パプリカジュースはちゃんとラベルを貼っておくとして」  言って、マルはクルリと僕の方を向いた。 「それはそれとして今度はちゃんとトマトジュース飲んでみてよ」 「えっ?」  スタートに戻った。 「いや、もう」 「美味しいからっ」 「うーん、」 「ねっ?」 「は、はい」  念を押されちゃあ、ね?  まぁ、トマトジュースだしマルが美味しいと保証するのだから大丈夫だろう。  その名の通り○印を貰ってるのだから品質に問題はなさそうだ。  って、フラグ立ててる? 「とゆうか、冷蔵庫のビンはちゃんと見分けられるの?」 「大丈夫、香りで」  冷蔵庫を開けてトマトジュースの選別を始めるためフタを開けて香りを嗅ぐマルはよしよし、と確認が取れたようで、得意げに頷いた。  新しいグラスを用意してトマトジュースを持ってきてくれた。 「ふふふ、楽しみだなぁ。私が庭で作ったトマトを調理して作ったトマトジュースだから、言うなれば手料理みたいなものだよ。男の子に始めて手料理披露するから緊張するよ」 「ああ、そうなんだ」  トマトジュースってミキサーで混ぜるだけだよね?  手料理というかほぼ手が加えられていないような気がするんだけど。  というか、トマトジュース飲んでもらいたかったのって手料理を振る舞いたかったか、ってことなの?
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