第1話 吸血鬼はトマト好き

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§ 「お邪魔します」  マルの家に来たのはいつぶりだろうか。  僕は懐かしい気待ちでマルの一軒家の前にいた。 「どうぞー。はい、これスリッパ」  中に入るとすぐ側に階段があって左側に渡り廊下が続いてる。  来客用のスリッパを用意してもらい、僕は靴を脱いで用意したスリッパに履き替える。 「こっちこっち」  マルが先導して渡り廊下を歩いていく。  突き当たって左にある扉を引いて部屋に入っていくとそこはリビングだった。  四人テーブルやソファー、テレビなど置いてあった。  こういうのを見ていると家庭の象徴という感じがしてとても眩しい。 眼裏にまで焼きつきそうだ。  トタトタトタ。  ふと、小さな足音が聞こえてきた。  足元を見やるとコーギーがいた。 「可愛いワンちゃんだね」 「ふふふ、コムギって言うんだー」  そのまんまだ。 「へぇ、可愛いね。てか元気だね」  初めて見る顔に興味津々なのか僕に飛びかかるように前足を上げてぴょんぴょん飛び跳ねてる。  すごい人懐っこい。 「他にも猫と小鳥を飼ってるんだー」 「へぇ、ホントだ」  あたりを見渡すと鳥籠を見つけインコなのかな、黄色い毛色の鳥がいて、今はいないようだけど猫用のタワーも部屋の奥にあった。 「猫はそこにいるよ」 「わわっ、ホントだ」  カーテンレールの上にいた。 「私もいるわよ」 「うわぁぁぁ!」  突然、横から人間の顔が現れた。  思わず仰け反り、急いで後退した。
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