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テーブルを綺麗に拭き終えて、マルはビンとグラスをしまう前に空になった水を入れていたグラスにトマトジュースを注ぐ。
そして一口飲んだ。
「ぐふっ!」
「ま、マルっっっ?」
突然吹き出したマルに面食らってしまう。
「なに、これ。トマト、じゃないよぉ」
「えっ?」
急いでティッシュを手に取って口元を拭いて手際よくテーブルも綺麗に拭き終えてからマルは別のグラスを取ってきて水を注いで飲み干した。
テーブルに置かれた飲みかけの赤い液体。
マルも吐き出してしまったこの飲み物はじゃあ一体なんだっていうんだ。
「まさか、血?」
君が言うのか!
あんまりネタにされたくないと思ってたんだけど、
「否定してよ!」
「やっぱ気にしてる!」
「本気で血だと思ってるんじゃないかと不安になって。間が長かったんだもん」
「それはごめん。血だなんて一ミリも思ってないから大丈夫だよ」
「うん、ありがとう」
素直な子だなぁ。
「でも一体、なんだったんたろうね? 何か、苦かったなぁ」
「うん。とにかくこれは捨てよう」
言って、飲みかけのグラスを片付けて流しに持っていくマル。
「あっ」
不意にマルが素っ頓狂な声を上げた。
「三角コーナーにパプリカの切れ端があった。これかも」
「な、なんだって」
「赤パプリカだよ、しかも。種ぬきもしてあるしこれだ!」
「だからあんな不味かったのか。とゆうか、僕パプリカ苦手なんだけど」
「たぶんこれ作ったのママだ。もぅっ! 分かるようにしてくれないと!」
「まぁ、得体の知れないまま終わるより良かったけど」
パプリカジュース、か。
よくもまぁ作ろうと思ったものだ。
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