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「メール見たよ、ごめんなさい、俺は翔をスーパーマンと勘違いしてた、いつだって頼もしくて決断力があって俺を引っ張ってくれて誰かがパニックになっても翔だけは動じないからって、すべてを背負わせてしまっていいはずがない、手伝うから何でも言って、どこへ謝罪に行けばいい」
その手を頬をこすりつけ訴えた。この温もりを守りたくて必死だった。俺の前には必ず翔がいて、その背を道標について行くだけの仕事しかしたことがない。同僚の誰が仕事で休んでもフォローできるよう、翔は仕事を振り分けるから担当ほどでなくとも各部署のことは理解している。なのに、それが翔の仕事となると俺に出来る手伝いは謝罪しかなくて、それが悔しくて、胸の底が焼けるように痛む
「圭吾、圭吾」
翔の名を呼ぶ声が近くで聞こえた。俺を包み込むのはやわらかで、温かな腕。大好きな人の胸の中で聞く
「妖精の国帰りで混乱してるのは分かった。まずは現実に戻ろうか、動揺してるのは圭吾で俺はお前に振り回されてるだけ」
「・・・・・・え?」
いつものように、低く濡れた甘い囁きは
「え? じゃねえからったく」
俺の脳にゆっくりと
「俺は圭吾の涙に弱ぇの。路上を泣きながら走って来られてみろ、冷静でいられるわけがねえ」
浸透していった
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