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「よし、お前がそこまで覚悟して臨むなら、最善のフォローをする!」
「自分もっす!」
そう言いながら雅人が掲げた拳を中村が両手で握った時。
テッテテレ、テテッテテレ……
どこからともなく、テクノ系音楽のイントロが鳴り出した。
チョコレイト、ディスコ♪
チョコレイト、ディスコ♪
チョコレイト……
「うっぎゃあぁぁぁーーー!」
「なーかーむーらー!」
「えー、これもNGっすか!?」
床に倒れ込んだ雅人を介抱しながら、スマホの着信音を慌てて変更する中村を定吉は睨み付けた。
「『抱かれたい男』に抱きつかれるなんて、定吉さん、レアっすね」
「中村っ、うまいこと言ってないで、レジ袋でも何でもいいから、袋持ってこい!」
「え、この状態で買い物っすか?」
「バカタレッ! 過呼吸対策だよ!!」
遠のく意識の中、古参マネージャー・定吉と新人付き人・中村との間抜けなやり取りを耳にしながら、雅人は息も絶え絶えになりながらつぶやいた。
「バレンタインなんて……大嫌いだ!!」
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