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バレンタインデー当日、2月14日。
バレンタイン握手会イベント当日。
抱かれたい男・ナンバーワン俳優の隼雅人が颯爽と会場入りすると、客席からは割れんばかりの拍手が鳴った。
デビュー当時から応援してくれている古参ファンに加えて、先日『克子の部屋』に出演したことで、さらに新規ファンが増えたらしい。
幅広い年齢層の女性が、バレンタイン握手会イベント会場へと押し寄せていた。
「本日は皆様からチョコレイトをいただけるということで、楽しみにやって参りました」
「隼さん、カッコイイ!」
「マサ~、抱いてぇ!」
雅人のリップサービスに、黄色い声が飛び交う。
「『チョコレイト・ディスコ』を聞いただけで過呼吸起こしてたのに。さすが雅人さん、役者っすね~!」
「中村ぁ、迂闊なこと言うんじゃねぇ!」
他事務所の俳優やスタッフもいる会場で不用意な発言をする中村を、定吉が咎めた。
雅人の隣には、ライバル俳優である城之内拓磨が並んでいる。
「拓磨く~ん!」
「ジョウタク~!」
もちろん拓磨のファンも存在するが、雅人に対する声援の数と比較すると、明らかに少ない。
所詮、2位の男だな……。
この2年間で、完全に人気を逆転したことを、今更ながら雅人は実感していた。
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