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ルールル、ルルル、ルールル…
エンディングに、再び番組のテーマジングルが鳴り出す。
克子は嬉々として、カメラ目線で訴えた。
「隼さんのファンの皆さ~ん! 隼さんに送るチョコレイトは、甘くない物にしてくださいませね。今日のお客様は、人気俳優の隼雅人さんでした!」
ラ~ララ、ラ~……
音楽と共に、微笑む克子と雅人の映像もフェイドアウトしていった。
「お疲れ様でした」
涼しい顔で、『隼雅人 様』とドアに書かれた楽屋に帰る。
「うぎゃーーー!!」
先ほどまで、王子様のようなルックスで微笑んでいた人間と同一人物とは思えない形相で、雅人は克子から貰ったチョコレイトを放り投げた。
「雅人、よく頑張った!」
10年来のマネージャーである定吉が駆けつけ、四つん這いになり肩で息をする雅人の背中を撫でた。
「甘かろうが、苦かろうが……」
過呼吸気味になりながら、雅人は精一杯の声を捻り出す。
「俺は、チョコレイト・アレルギーなんだよ!!」
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