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もう1つの出逢い
――それから、さらに数週間が過ぎた。
わたしは目的が果たせず、少し焦りだしていた。
わたしの願いを、ダイレクトに話して、嫌われるのはわかっていた。
じゃあ……どうすれば願いを果たせるのか?
わからないよ――
「雫、そんなに焦らなくていいけども!」
「時間は、まだあるけども」
「雫の気持ちが悠人に通じれば、きっと大丈夫だけども」
……ヨミに励まされた。
「精霊はそうやって見守るだけなのね……? ハァ……」
悠人とは、ずいぶん仲良くなった。
だからこの先、きっとわたしの言うことを聞いてくれるはず!
あともう少しだ……。
「よし、頑張る!」
――今日は、夕方からアルバイトに行くあなたに憑いていった。
「今日は、ずいぶん忙しそうね~」
まだ6時過ぎだけど、店内は満席に近かった。
「そこをどけって! 邪魔ー!」
「きゃっ」
アルバイト中の悠人に叱られた。っていうか、わたしの扱い雑なんですけど……。
「別に、わたしは通り抜けできるでしょー!」
と、言い返してやった。
「目ざわりなんだ!」
――ですって~っ! もうー!
「いーーーっだ! 悠人なんて、転んじゃえ~!」
「ふ~んだ」
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