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教室に夕日が差し込んでくる頃_____
長い長い一日にも、必ず終わりはやってくる。
今年こそは告白しようなんて考えたけど、彼女に告白するということは砕けにいくということを指す。
告白すら出来ないヘタレさに嫌気がさす。
もし、漫画やアニメの世界なら、主人公は好きな女の子と結ばれるだろう。
けれど、ここは歴としたノンフィクションの世界。
そんなことはあり得ないと再度思うと更に気分は落ち込む。
「とりあえず、チョコでも食べて元気出しますかー!」
親友から貰ったチョコを取り出す。
高価そうなチョコを2つもくれるなんて、これって数個で500円ぐらいするんじゃ?
「……そういや翔太んとこって結構裕福だったなぁ…」
パクッと口に入れると甘味が気持ちとは裏腹に口中に広がる。
「なにこれめっちゃウマい……!!」
サンキュー翔太……!
お前のお陰でなんかいい事ありそう!!
親友のお陰でテンションが上がった僕は、誰もいなくなった教室を踊りながら後にした。
以前、翔太に「お前のダンスめっちゃ笑えるんですけど!!」と腹を抱えて笑われた事があるけど気にしない。
誰一人としていない廊下を踊って歩いていたら、何処からともなくすすり泣く声がしてくる。
「ま、まさか…幽霊……?」
いやいやいや!
ここも学校数年前に建て替えたばっかだからそれはないっ!!!
そう自分にいい聞かせ辺りを見回すと、近くの教室で泣いている女の子。
……ああ、あの子だ。
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