1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
あちらのお客様
行きつけのカウンターバーで飲んでいたら、注文もしてないのに、突然目の前に酒の入ったグラスを置かれた。
「あちらのお客様からです」
言われて『あちら』とやらを見てみるが、店内には俺以外客の姿はない。
バーテンとは馴染だから、暇を持て余してイタズラを仕掛けてきたのだろうか。
そんなことを考えた次の瞬間、こっそりとバーテンが俺に耳打ちしてきた。
「凄い美人じゃないですか。あやかりたいなぁ」
色めき立った声でバーテンはそう言うが、残念ながら俺にはその美人とやらは見えない。
はたしてこの酒を飲んでもいいものかどうか。少し酔いが回ってきた頭でそんなことを考えながら、俺は目の前のグラスを見つめた。
あちらのお客様…完
最初のコメントを投稿しよう!