あちらのお客様

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あちらのお客様

 行きつけのカウンターバーで飲んでいたら、注文もしてないのに、突然目の前に酒の入ったグラスを置かれた。 「あちらのお客様からです」  言われて『あちら』とやらを見てみるが、店内には俺以外客の姿はない。  バーテンとは馴染だから、暇を持て余してイタズラを仕掛けてきたのだろうか。  そんなことを考えた次の瞬間、こっそりとバーテンが俺に耳打ちしてきた。 「凄い美人じゃないですか。あやかりたいなぁ」  色めき立った声でバーテンはそう言うが、残念ながら俺にはその美人とやらは見えない。  はたしてこの酒を飲んでもいいものかどうか。少し酔いが回ってきた頭でそんなことを考えながら、俺は目の前のグラスを見つめた。 あちらのお客様…完
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