最終章 最愛のあなたが、おれより先に死にますように

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「遠距離恋愛だと思って。まだしばらくはこっち来なくていいからね」  准一さんは努めて明るく言った。私が暗くならないように。 「遠距離慣れてますもんね。なんたって出会った最初から遠距離でしたし」  そう。遠距離恋愛がちょっとの間復活するだけだ。屁でもないわ。  その間、話のネタを貯めておこう。私が准一さんのもとを訪れる時まで。会った時の話題が尽きないように。娘と息子のこと、孫のこと。  准一さんも歳だし、遠距離の間にボケちゃって私のこと忘れちゃうかもしれない。そうなった時のために、また一目惚れしてもらえるように、なんとしてでもかわいいおばあちゃんのままでいよう。  夏帆へ。  ありがとう。幸せだった。  愛してる。  約束守れなくてごめんな。もう少しそっちでゆっくりしておいで。  また今度結婚しよう。  准一さんへ。  やーい嘘つき嘘つき。  私より長生きするって言ったのに。罰としてそっちで一人寂しく暮らしてなさい。  愛してくれてありがとうございました。  また今度プロポーズしてください。  次はちゃんと約束守ってくださいね。  大好きです。 Fin.
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