85人が本棚に入れています
本棚に追加
「遠距離恋愛だと思って。まだしばらくはこっち来なくていいからね」
准一さんは努めて明るく言った。私が暗くならないように。
「遠距離慣れてますもんね。なんたって出会った最初から遠距離でしたし」
そう。遠距離恋愛がちょっとの間復活するだけだ。屁でもないわ。
その間、話のネタを貯めておこう。私が准一さんのもとを訪れる時まで。会った時の話題が尽きないように。娘と息子のこと、孫のこと。
准一さんも歳だし、遠距離の間にボケちゃって私のこと忘れちゃうかもしれない。そうなった時のために、また一目惚れしてもらえるように、なんとしてでもかわいいおばあちゃんのままでいよう。
夏帆へ。
ありがとう。幸せだった。
愛してる。
約束守れなくてごめんな。もう少しそっちでゆっくりしておいで。
また今度結婚しよう。
准一さんへ。
やーい嘘つき嘘つき。
私より長生きするって言ったのに。罰としてそっちで一人寂しく暮らしてなさい。
愛してくれてありがとうございました。
また今度プロポーズしてください。
次はちゃんと約束守ってくださいね。
大好きです。
Fin.
最初のコメントを投稿しよう!