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ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオゥ!!
広場に、大地を震わす大爆発が起こった。
斜めに止められていた車が、一斉に吹き飛んだのだ。
車の周囲に控えていた部下たちの半分が爆炎に呑まれ、もう半分は数メートルに渡って吹き飛ばされた。
「ぐっ!?」
やせ衰えていたバン爺が爆風で煽られ、椅子から転落。咄嗟にリリィが飛び寄る。
鈴とジャンベリクは爆発すら眼中に無いといった様子で、互いに睨み合っている。
「なんだ!? なんだこれは! どうなってる!?」
これまでの余裕を一瞬にして消し飛ばされたビターが取り乱した声を上げ、
「あははははははっ!」
マジカもどきが手の甲で口元を隠し、軽快な笑い声を上げた。
「この爆発は、お前の仕業か!?」
俺が問うと、
「そうよ? リモコン式爆弾で吹き飛ばしたの。魔法でやればもっと簡単だけど、あまり大きな魔法を使うと、〝彼〟にわたしの居場所がバレちゃうからね」
マジカもどきは、まるで友達に話して聞かせるみたいな軽さで答える。俺を脅威とも見做していないような、そんな感じだ。
「お前が、吹き飛ばしただとォ!?」
どうやら聴こえていたらしいビターが、血走った眼でマジカもどきを睨みつける。
「たくさんのお金。あなたが望んだものは手に入ったでしょう? ビター」
ビターに振り返ったマジカもどきは、両手を後ろ手に組んでにこやかに笑い、そのまま広場の出入口へ後ずさる。
「何の真似だ!?」
「そろそろお暇しようと思って。あなたとはこれっきりよ。魔晶石はありがたく頂いていくわ」
「確かに取引の後で魔晶石はお前にくれてやる約束だった! だがなぜ車を爆破した!? いつの間に仕掛けた!? なぜそんなことをする必要がある!?」
ビターは癖なのか、その両手を大袈裟に振り動かしては、怒りの感情を露にがなる。
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