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「――俺を呼んだのは誰だ!? 俺に何をしろっていうんだよ!」
遣る瀬無さが爆発し、俺は叫んだ。
そのとき、【スクリーン・ヴィジョン】が再発動する。
――鈴だ!
鈴が華麗なバク転、側宙の連続技で後方へと退避し、ジャンベリクとの距離を取る光景が左目に映る。
誰もが目を見張る抜群の運動神経と、歴戦の勘から繰り出される動きには一片の無駄もない。
だが、この戦闘でジャンベリクから繰り出された攻撃は一〇〇を優に超え、さすがの鈴にも疲労の色が滲み始めていた。
そして、誤算は起こった。
巨大化したジャンベリクの瞬発力は見た目以上に高く、鈴が回避で開いた距離をコンマ五秒でゼロにしたのだ。
「――チッ!」
相手の動きを読み切れなかった悔みからか、鈴は険しい顔で舌打ちする。
「オラオラァ!! 逃げる一方かまな板ァ!!」
更なる追い打ちを掛けるジャンベリクに、マーガレット直伝の〝威圧スマイル〟を見舞う余裕も無く、素の表情で去いなしに掛かる鈴だが、ジャンベリクの左パンチが左耳元を掠めた風圧で僅かに姿勢を崩し、そのすぐあとに襲ってきた左の肘打ちを避けきれず、肩に直接喰らってしまった。
「きゃっ!?」
ドッ!! という音が広場中に響き渡り、鈴の小柄な身体は藁のように吹き飛ばされた。
「鈴っ!!」
足を痛めたのか、歩けない様子のバン爺を引っ張って避難させようとしていたリリィが、悲痛の叫びを上げる。
「お嬢ちゃん、わしに構わず逃げろ! すぐそこまで応援が来ておる! 連中を早く呼んで来い!」
と、バン爺は喘ぐ。
俺は右耳に意識を集中。さっきは遠かったサイレンの群れが、バン爺の言う通り、すぐそこまで来ていた。
「――ガハハハ! まずは一発」
ジャンベリクはそう言って口の端を吊り上げ、ドシドシと鈴に迫る。桁外れの打撃は鈴の三半規管を狂わせ、立ち上がるのもままならない状態に彼女を追い詰めていた。
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