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【徹魔弾】は、魔術師が展開した【魔障壁】を破るために開発された弾丸だが、言ってしまえば、単に貫通力を高めただけの話だから、魔術師以外にも有効なのだ。
「――ぅおおりゃあッ!!」
ジャンベリクが足を持ち上げた時に脱出し、呼吸を整えていた鈴は、好機とばかりに勇ましい声を放ち、引き締まった美脚を高々と振り上げた。
ザシュンッ!!
「でゅおッ!?」
鈴の脚力抜群な蹴りが〝雄のシンボル〟を掠め、短い悲鳴を上げるジャンベリクの額から、どっと汗が噴き出した。左目ではモザイクが掛かっていてよく観えないけど、右目では生で見えてる。
「――わたし、パンチよりも蹴りの方が得意なのよね」
間違って上を見ないように目を閉じ、しかし感覚を研ぎ澄まして〝宝玉〟の位置を掴んだ鈴は、膝を起点に幾度も繰り出す、格ゲーキャラさながらの連続上段蹴りを放った。
チ〇チ〇チ〇チ〇チ〇チ〇〇ン〇ン〇ンチィィィィンン!
おい効果音! そんなタイミングで最低な音鳴らさんでいいわ!
「ふんぬうううううがぁぎゃああああああああああ?」
白目を剥いて涙をちょちょぎらせ、巨人ジャンベリクは絶叫。威勢を失って大きな隙ができた。いくら劇薬といっても、シンボルまでは硬化させられないようだ。
フォローサンキューな! メル、鈴!
今度は当てて見せる!
肩の力を抜き、顔を前に。目標をサイトに収め、引き金は軽く。
――ダァンン!!
広場に一発の銃声がこだました。
「グオオッ!? な、にぃ!?」
ジャンベリクは、自分の右胸に穿たれた穴を凝視する。
俺が撃った【徹魔弾】がジャンベリクの背に命中し、皮を絶って肉を抉り、骨を砕いて臓器を突き破ったのだ。
「――痛ぇ……寒い……」
ジャンベリクは完全に気を失い、背中から盛大にぶっ倒れた。
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