図書館にて。

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図書館にある本たちは、どれも、かねこのきもちを晴らすような言葉を知ってはいなかった。 ふと、ネクタイを解いてみる。 いつもより、慎重に。 できるだけ、あの人のことを思いながら。 結ばれていたネクタイが、一本の布となる。 ああ。まただ。 どれだけやっても、あの人にはなれないや。 昼休みの終わりを告げるチャイムとともに、金子はもう一度ネクタイを締め、図書館に背を向け、歩き出した。
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