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そして、今もしんしんと雪が降っていた。
けれど、やっぱり雪の城はどこにもない。
隣にいた君も、どこにもいない。
懐かしい思い出のはずなのに、なんだかそれが悲しくって、でもやっぱり温かかった。
君との記憶なのに不思議と嫌な気分ではないのは、これが優しい思い出だからだろうか。それとも、遠い昔の記憶だからだろうか。
きっと、今は辛い君と過ごした家の思い出も、この記憶の様に薄れて曖昧になっていくのだろう。
その度に辛さは溶けていくけど、一緒に君も消えてしまう。
それは悲しい事なのだろうか。嬉しい事なのだろうか。
まだ、分からない。
でも、きっとこれからも雪の降る度に思い出す。
雪の城を。
君のぬくもりを。
雪の城も私の記憶も、いつかは消えてなくなってしまうけど、それでも二人で雪の城を作ったということだけは、いつまでも覚えてる。
だから、この思い出を胸に、私は春を迎えよう。
まだ少し寒いけど、その温かさを私は決して忘れない。
さようなら。
大好きでした。
ありがとう。
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