雪の城

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君がいなくなって一年目の冬。私は久しぶりに実家へ帰ってきた。 多分、寂しかったのだろう。君と過ごした今の家は一人だととても広く感じるから。 そうして、久しぶりにリビングでくつろぎながら窓から庭の景色を眺める。 月明かりに照らされた、ネコの額ほどの小さな庭。今はそんな庭に真っ白い雪が降り積もっていた。 その懐かしい風景に少しだけほっとする。 そして、同時にふと君のことも思い出した。 君のことを忘れるために帰ってきたのに、やっぱり君のことを思い出した。 そういえば子どもの頃、私はこの庭で雪遊びをするのが大好きだった。君ともよくこの庭で遊んだっけ。 「雪でお城を作ろうよ」 いつだったか、そう言って二人で雪の城を作ったこともあった。あまりよく覚えていないけど、子どもながらにかなり立派なお城を作ったような気がする。 私はそれがとても気に入って、二人でずっとここにいようよ、なんて約束もした。 雪で出来た城なのだから、勿論そんなことできるはずもない。 雪はすぐに溶け、消えてしまう。 実際、数日後には雪の城もきれいさっぱり姿を消した。 残ったのは、いつもの寂しい冬の庭だけ。 当時はそれがなんだかとても悲しくって、私はつい泣き出してしまった。 君はそんな私の隣にいて、ずっと手を握っていてくれたね。 その手はとても温かくって、悲しかったのに嬉しかったことだけは、今でもよく覚えている。
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